むむちゃんの散歩道

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読書日記11/16-17 江國香織『金平糖の降るところ』

江國ワールドの住人には二とおりいる。

留まり続けて動かないことを意思する人と、
恐れることなく動いてゆく人と。

だから、読み進めながら、
留まり続けるはずの人が、動き始めると、
驚く。

なので、読みながら、
動き始めないで、と願う。
動くのは、心だけでいて、と。
そこにドキドキし、そこにハラハラして、
結局、とどまったことに安心して、
ホッとする。

それなのに。
裏切って、あっさりと動き始めしまった。
不意をつかれて、グラリと世界が揺れる。
油断していたがために、不安が増大する。

どうして、どうして、どうして動いたの。
動揺したまま、混乱したまま、読み進めていく。
そして、ホッとできなまま、終わった。

読んでいる間、ずっと不安にかられていたので、
読み終えた時に、ちょっぴり泣きたい気持ちになった。

迷子の不安を抱えたまま、
連れてこられて、
知っている場所には、戻ってこれた、
子どもの気持ち。
by shiho_kato | 2011-11-18 17:26 | 読書ノート