むむちゃんの散歩道

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北海道の春を、旅する。

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この連休のはじめに、
むむちゃんとぷうちゃんと北海道へ旅に出た。

私が小学校3年生まで育った地。
むむちゃんが、その年齢のうちに、
連れて行きたかったのです。

朝から夏の日差しの東京。
飛行機での3人ばかりの旅は
はじめてであることに思い至る。
でも、子どもたちは飛行機での旅行は慣れっこ。
案ずることなく、
ぷうちゃんは乗り込んですぐにシートベルトをしめ、
むむちゃんは、自分とぷうちゃんのヘッドホンをセットし、
音楽を聞き始めた。

あの頃の、私は、このむむちゃんほどに
しっかりと生きていただろうか。

三日間の北海道旅行は札幌に滞在し、
ホテルはとってあったものの、
Yさん一家にお世話になった。

幼なじみがいて、おねえちゃんがいて、
家族ぐるみでお世話になっていたYさん家族に、
こうして今、30年近い時間を隔てて、
同じようにお世話になっている。
Yさんが、かつての私たちの年齢の
むむちゃんやぷうちゃんと遊んでいる。
幼なじみにも、おねえちゃんにも、
むむちゃんやぷうちゃんと同じくらいの子どもたちがいる。

その、何もかもが、
過ぎゆく時間と、
めぐる時間の、
不思議。

到着した日は薄寒く曇り空に雨が時折落ちる天気が、
翌日は快晴。朝から張り切っている子どもたちと大人たち。
学校に行く時間と同じくらいの早い朝から、
水族館へ出かけた。私の子どもの時からある水族館。
海を背にしたトドのプールを観て
記憶がよみがえる。
こんなまぶしい、明るい、刺すような日差しの中で、
大きな大きなトドのショーを見ながら、光る海を眺めた。

子どもたちがたっぷり遊んだ後、
私の育った「銀山」へ。

雪が残る。
雪解け水がそこここからあふれ出し、水は滔々と流れ、
あちらこちらにぬかるみができる。
冬の間、雪の重みにうもれていたクマザサたちは
まだ、立ち上がる力を持たずに横たわる。

むむちゃんとぷうちゃんは、一目さんに
雪の丘に駆け上がった。
ズボズボと踏みしめ、靴の裏です〜っとすべる。
ふきのとうが、鮮やかな黄緑色。

山の上の駅から、
記憶の中よりも、ずっとずっと鮮やかな
村いったいが、一望できた。
そう、一望できるほど、ここは小さな小さな集落だったんだ。
そうか、保育園と小学校は道をへだてて隣接していて、
そうか、小学校は山の上の家の窓から見える距離にあったんだ。

道をてくてくと歩く目の高さからは、見えなかったんだ。
このこじんまりとまとまった全体が。

そして、見渡す限り、文字通り360度の山々は、
記憶の中では高くせまってきていた。
ぎゅっととじこめられる感じだったけれど、
いま、こうしてみると、
山並みは、ふんわりと遠く広くぐるりとめぐる。

私が歩いたその道を、
むむちゃんとぷうちゃんが駆け抜ける。
風に、あのころの声が聞こえてきそうで。

あぁ、ここからはじまったんだ。
何もない、ここから。
30年生きたんだ。
30年を、生き続けたんだ。
多くの出来事と多くのものがあふれる中へと
飛び出して。

そして、子どもたちが、ふたたび駆け回り空気を揺らす。

空が青く、山も青く、風も青く。

人は戻ってくることができる。
はじまった場に、
立ち直すことができる。

だから、大丈夫。

大きく深呼吸をした。
by shiho_kato | 2012-05-07 19:46 | 読書ノート