むむちゃんの散歩道

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備忘録メモ「絵本と、本と、読書と、私のキャリア」について語る二日間

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桜美林大学での、二日間。

今回は、20冊余りの本を持ち込んで、
私の今を、それぞれの本がどのように育んできたかお話した。

1時間の中で紹介するには多すぎる量ではあったけれど、
大好きな一冊一冊が、私を文字通り支えここまで運んできてくれたことを、
学生さんたちに説明しながら、自ら得心していく時間だった。

絵本を中心にした。

今、いつ、どこで、出会ってもいい。
この絵本一冊を知っていれば、
何かあったときに、その本に、戻ってゆけば、
必ず生きのびる気持ちになることができる。
そうお腹の底から祈って、願って、紹介した絵本たちは、
私が多々出会ってきたなかでも選りすぐり。

私の話は忘れてくれて構わない。
でも、生き延びるために、本は力をくれる。
ということだけ、残っていてほしいな。

孤独にさいなまれたとき、
絶望にさいなまれたとき、
自分なんて消えてしまいたい気持ちになったとき、
一冊の絵本を手に取ってほしい。
ほんのひととき、やすらぎが得られる。
そして、きっとそんなときに手にとる本は、
人生を歩むためのヒントをポンと運んでくれるているに違いない。


話の流れは、成育歴を語り、職歴を語り、
その仕事を、どんな気持ちでしているのか、どんな仕事であるのかを語る。
シンプルな構成。

毎回毎回おんなじお話なのだけれど、今回は、本のお話ができて、
本当に楽しかった。息が詰まったり、息が切れてしまったりすることなく。

残念ながら、ほとんどの学生が1冊も知らなかった。
もっと、メジャーなものを混ぜれば良かったのかな。
でも、『モモ』も知らないのか・・・。
『銀河鉄道の夜』も知らないのか・・・。
『3月のライオン』も知らないのか・・・。

いま、ここで、どうか出会えますように。
そう願いながら。

倉田百三の言葉を最後に紹介した。
4度の授業で毎回読み上げて、彼の言はんとしていたことを、
自分の言葉に置き換えてみると、こんな感じ。

・・・・・・
本は、書物は、ともにここに生きる人たちへのプレゼントである。
同じ日本という国で、共に生きる(た)人たちから、贈られたと思って
どうぞそれらのプレゼントをもらい、読みなさい。

そして、読むだけでは他者からのプレゼントをもらったばかりである。
自らの人生と、自らの作品を作り出して、この世にプレゼントを贈りなさい。
それが今を生きている、時代をへだてともに人間として生きたもののすべきことである。
・・・・・・

ここには、現代社会の大きな病理、
孤立を、孤独を、乗り越えるヒントがある。
書物を通じて人はつながりあうことができる。
「共存意識」という言葉を彼は用いていた。
そう、共存する者たちへの贈りものとして書物はある、と彼は書き、
それを受け取り読むのが、読書であると。

孤立させていきがちな社会システムを共に生きるためのものへと
動かすために、その原動力となる、力を、やはり本が持つ。
原動力は、頭ではなく、心にこそ宿る。
だから、私は物語や小説が好きだ、心に直接響くから。


そして、同じく、孤立、孤独を、乗り越えるヒントに、
今回紹介しなかったが、灰谷健次郎さんが沖縄に移り住んでから
しきりに繰り返していた「自然が近しくなってさびしさを感じなくなった」
という言葉がある。

私は子どものころに自然の中に育ち、
そこに宿る八百万の神なるものか、妖精なるものか、
目に見えぬ、息づかいを持つ生き物たちを信じて育った。

今では、植物も、それらの「生き物」たちの大勢を成していたことがよくわかる。
そして、『センス・オブ・ワンダー』は、説明はできないけれど、
私にとってのバイブルのような本だ。

今回、『花さき山』を紹介したのは、見えぬ場に、至ることのできな山に、
静かに私たちの行為を見つめ、花として咲かせる神が宿ることを、理屈ではなく伝えたかったから。

そして、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』を紹介したのは、銀河を行く汽車は、
私の育った山の頂を行く夜の記者によく似た光景を描くからだ。
今回『銀河鉄道の夜』を紹介しようとして、絵本を見直していたときに、
最後のページに、賢治の文字で
「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」
と、記されていた。(これは、藤城 清治版だけなのだろうか。)

人はひとりでは生きられない。
その、ひとりでは・・・の中には、自然界をも、本をもパートナとし、
誰かとともに、何かを分かち合っている、という実感をてのひらに感じることが必要なんだ。

読み返した発見の中にあらたに見つけたフレーズに、
あらためて、私自身の生き方を、問い直す。
これまでも、これからも。



************
紹介した絵本と本たち。

宮沢賢治『銀河鉄道の夜』
斉藤隆介『花さき山』
ミヒャエル・エンデ『モモ』
シルヴァスタイン『ぼくをさがして』
シルヴァスタイン『続・ぼくをさがして』

チャイルドライン支援センター編『子どもの声に耳をすませて』
なくそう子どもの貧困全国ネットワーク編『イギリスに学ぶ子どもの貧困解決』

尾木直樹『教育格差』
石井小夜子『少年犯罪と向き合う』
阿部彩『子どもの貧困』
山野良一『子どもの最貧国日本』
丸田桂子『虐待される子どもたち』

中脇初子『きみはいい子』
羽海野 チカ 『3月のライオン』

西内 ミナミ『ぐるんぱのようちえん』
パトリシア・ライリィ・ギフ『こんな日だってあるさ』
サリー ウィットマン『とっときのとっかえっこ』

倉田百三『青春をどう生きるか』

夏川草介『神様のカルテ』
by shiho_kato | 2012-11-09 21:19 | 読書ノート