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百田直樹『海賊とよばれた男』上下巻を読む。にわかに“出光”びいきになる

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苦戦しつつ、『海賊とよばれた男』を読み終えました。

もっぱら戦後の日本の復興時の出光石油の創業者を
なぞらえた小説だということが、先にわかっていたら、
もっと、興味深く読めたかもしれない。

先入観なく、小説として読むには、時間軸の行ったり来たりや、
フィクションなのか、ノンフィクションなのか、
拠って立つ事実があるのかないのか、
宙をつかむような上巻では、カリスマ的な操業者の
とても良いのだけれど独裁的な経営理念に
どう共感していけばよいのか、惑いながら読んだ。

そうか、ここに書かれていることは真実なんだ、と知ると、
物語がにわかに力強さを帯びてくる。
戦中に徴兵されていた社員の家族には従軍中も給与を払い続けていたとか、
戦後の厳しい時期にもひとりの首もきらず石油以外のどのような仕事もしたとか、
終戦直後の石油政策が庶民の懐を圧迫し寒さや飢えを圧迫していると知ればひとり反旗を翻したりとか、
イギリスに牛耳られるイランを救うために、イランの石油を買い入れるとか。

山崎豊子の『運命の人』なんかは、それ自体小説として
ぐいぐい引き込む力を持っていたりしたので、
あと、もう一歩なんだろうなぁ。

でも、読み終えたあと、にわかに出光石油びいきになっている。
創業者のその理念が今も生きているといいな、と願いながらHPなど見て、確認してしまったりして。
http://www.idemitsu.co.jp/100year/
創業者出光 佐三は、「社会は人間がつくったもの。人間のための社会であり、中心は人間でなければならない。」

そして、数年前に「題名のない音楽会」の前後で流れていた、出光のCMを思い起こしたりしつつ。
http://www.idemitsu.co.jp/tvcm/song/song_pop3.html
by shiho_kato | 2013-03-18 01:15 | 読書ノート