むむちゃんの散歩道

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雨にも風にも夏の暑さにも冬の寒さにも負けて、よし!

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宮沢賢治くんは大好きだ。
両親からの花巻土産に、
雨にも負けず、の拓本。


わが身に置き換えた時には、

「雨にも負けて
風にも負けて
雪にも夏の暑さにも負ける
丈夫でない体を持つ
わたくしで良いのです。

季節は過ぎ行くものだから。
季節とともに在る体とはそういうものです。
そしていずれの時も過ぎ行くものです。」

と、言いたい。
体が弱くて何が悪い、
と開き直れる心持ちでいたいと思う。
望まずして崩れる体調を誰より恨めしく思い、
自己管理できない私のせいだと責めるのは、
わたくし自身であるから。

そして負けることを知らずして自然との共生無しなのですから。


「私はなりたい」
と結ぶ賢治くんが刻んだ言葉は
なかなかにそうはなれない葛藤を
よくよく知っているひとだったからこそなのでしょう。


そして後半に続く
「北に喧嘩や訴訟があれば
つまらないからやめろといい」
なども、
そうやってするりと割って入り仲裁する図々しさを持ち得ない葛藤も抱えていたのかな、
と思いながら読むとクスリと笑える。

宗教的なバックボーンは賢治くんを支えた。
しかし、宗教的な言葉そのものが、
そうありたき理想の姿を教えとして記したもので、
つまりは学び続けて精進を重ねて尚、手に入りがたきそれであることも自明である。


葛藤を乗り越えた理想の姿を
懸命に文字に記した賢治くんと考えると、
更に彼を身近に感じて、妙なプレッシャーに満ち満ちたこれも
とっても愛らしい足掻きの痕に思われてきます。

そりゃそうか。
彼は私より若くして亡くなったんだ。
by shiho_kato | 2013-07-13 07:22 | 読書ノート