筑駒祭の翌日、
もうひとつの祭りが待っていた。
勤務校での朝日新聞オーサビジット、百田尚樹さん。
生徒たちが寄せ書きを書いて送り、選考される。
20人のオーサに1000通超の応募とか。
今年『海賊と呼ばれた男』で本屋大賞をとった百田尚樹さんは
時のひと。
どれだけ、倍率が高かったことだろうか。
当日、直前に百田さんをお迎えした際に応対に生徒を一名。
オーサビジットに応募したい、
百田さんにお願いしたいと言い出した彼。
彼の百田さんや記者との話から、
彼がこの4月に入学して筑駒学校図書館で百田さんの本と出会った、
という実情を知った。
昨年度末に、「本屋大賞コーナー」を作り、ノミネート作品をすべて並べた。
それとは別に、男子中高生には絶対お勧めと、言われて年度末の予算で百田作品をごそっと入れていたんだ。
4月に本屋大賞が発表された時には、
それらの本とセットで、百田コーナーを作った。
なかなか動かなかった本が動きはじめたのはそれからだった。
全部全部を、すいあげてくれてありがとう。
感謝以外の言葉なし。
百田さんは中高生向けにお話しするのははじめてだったそうだ。
はじめは受けを狙う要素を交えていたのが、
生徒の質問に答えながら、
本気になっていく様子がうかがえた。
百田さんが本気になるほどに、生徒たちが前のめりに
真剣に聞きに行く様が手に取るようにわかった。
終わった後、直接お話をし、写真を撮ってもらうために
見送りまで出待ち!
出待ち中の彼らの話から、これぞと思った本を
図書館で順繰りに借りまわしていることも知った。
あぁ、うれしい。
なんてうれしいんだ。
出待ちをしていたのは、ふだん、言葉少なく控えめな生徒たち。
彼らが高揚した顔で、文字通りとろけそうに笑いあう姿に、ウルッと暖かく嬉しかった。
本よ、ほんとにありがとう。
こんな彼らと出会わせてくれて。
翌朝の朝日新聞東京版に、記事が掲載された。