中山七里と言えば
『このミステリーがおもしろい!』大賞を受賞した
『さよならドビュッシー』が代表作。
読んでみて、ほどほどだったので、
次の作品になかなか手が出なかった。
荷物が重い、文庫にしよう、の理由で手にとった
『おやすみラフマニノフ』と『いつまでもショパンを』
ラフマニノフは、まずまずだったけれど、
ショパンは、とても、面白かった。
ちょうどピアノのレッスン前に読了。
少し興奮を抱えて、ピアノの先生である友人に紹介すると、
「読みたかった!」
数日後、ページをめくる手が止まらない、と。
嬉しい。
ピアノを弾けない私でも、手に汗握って、心拍数が高鳴って
まるで私がピアノの前に座って鍵盤を叩いているような気持ちになる筆致。
ピアノが弾ける人であったなら、今すぐピアノの前でそれを再現したくなるに違いない。
ときどき、そんな小説に出会う。
走る小説は、走る描写が上手であるだけで、ハナマル。
この人は走った経験を持つに違いないと思いながら、一緒に走っている気持ちになる。
読み終えて本を閉じると走り出したくなる。
たかが、文字の羅列、言葉の羅列。
それがこれだけ体を突き動かすのは何故だろう。
心や頭ばかりでなく。
中山七里が成長して良かった。
続く音楽小説が楽しみだ。
他の楽器よりもピアノが得意なのだろう。
だから、ピアノを真ん中に据えてぜひ。