むむちゃんの散歩道

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まはら三桃 『伝説のエンドーくん』

倫理観を取り戻そう、というお説教くさいお話かと
本の紹介を読んで思ったのは、大間違いでした。

あの紹介文を書いた人は、多くの読者からこの本を遠ざけたに違いない。

良かった、ダメもとで読んでみようと思って。
毎章ごとに、胸がほっこりあたたかくなって(一章目は若干劣る)、
いくつかの章では、やばい泣きそうだ、と、思った。

エンドーくんのあまたある落書きメッセージ中から、
私が見つけるのは、私が欲しい、私の気になるメッセージ。

見つけるのは先生、ひとりひとり。
生徒の物語ではなく、先生の物語でした。

教員として生きていると、いや大人として生きていると、
大人と「対峙する」子どもの目線と、向き合ってしまうが故に
子どものまなざしが見えなくなる。

「対峙」しなければ、
同じ側に立ってしまえば、
同じ側から、年数がたった分だけ遠く深くまで見通せて余計なものも目にはいるようになっただけ、
見方そのものが変わっているわけではない、と気づけるのに。


そんなことを教えてくれる小説でした。

まはら三桃の
『たまごを持つように』の弓道小説も、
『鉄のしぶきがはねる』の女子の工業高校小説も、
『鷹のように帆をあげて』の女子の鷹匠小説も、
どれも、ソフトでやさしくて好きだけれど、
『伝説のエンドーくん』は一歩突き抜けた感じ。

むむちゃんに、今日読んだ小説がとても好きなお話で嬉しかった、
と話したら、あらすじ教えてよ、とせがまれる。
うまく要約できなかったので、ところどころ、ぽつりぽつり話すうちに、
じれったくなったのか、むむもそれ読む、と。
読んでくれるかな。
どんなふうに読んだか、教えてほしいな。
その日がしずかに楽しみだ。
by shiho_kato | 2014-06-19 22:31 | 読書ノート | Comments(0)