むむちゃんの散歩道

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たかのちゃん

たかのちゃんのお墓参り。

夏生まれのたかのちゃんに
いちばん似合うと勝手に思っている向日葵を持って。

挿したばかりのお花の先客。
昨日か、一昨日か。
ご両親がお見えになっていたのかしら。ご兄弟かしら。
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たかのちゃんの前では饒舌になる。
生前も、今も、変わらず。

たかのちゃんの甚だしい抜けっぷりのおかげだ。

たかのちゃんの居た痕跡は一目瞭然。
準備室の机の上には読みかけの本。
個人ロッカーは半びらきで、『陰陽師』や京極夏彦の本がこぼれそう。
図書館の書架には、ひと目でたかのちゃんとわかる字でメモ書きされた付箋とペン。
持ち物にちゃんと名前を書いてあるのは自身、忘れ物名人を自認しているから。

本をとじ、ロッカーにしまって扉を閉める。
図書館の閉館時間には、どこかにたかのちゃんの忘れ物を探し、
今日はこの棚周辺で調べ物していたんだ、とニヤニヤ想像する。
宗教だったり、美術だったり、歴史だったり、教育だったり。


人を油断させる術は、天下一品。
安心して、なんでも話せる。
真面目に聞いていると思いきや、「それは妖怪のせい!」
20年も前から用いていた。
中世の怪異譚を扱っていたたかのちゃんは、
今だったら、時代の寵児。

そこここの日常生活の中に出没する怪異を、
半ばおもしろおかしく、でも腹の底から信じていた。


•••••••
地下鉄でガンガンに冷やされた体を解凍すべく、
ジリジリと日差しに照りつけられながら、たどり着いた。

近況の報告など後回しに、弱音大会。

穏やかに生きられいている今がいつまで続くか心配になる。
とか、どうでもいいようなことを。

病気でまいっているときも、
仕事でまいっているときも、
未来が見えないときも、
身に迫る深刻な悩みを抱えている時も、
さして迫ってこない悩みをこねくり返している時も、
最後は、いつも同じ。


たかのちゃんのとこに行くまでに、たくさん話のネタを増やしていくからね。
いっぱいいっぱい話が尽きないように、もすこし生きてみるよ。
楽しみに待っててね。


帰り道は、妙に軽いんだ。いつも。



一年に一度の墓参。
今年はも一度近くまで来られそうよ。
11月に走るさいたま国際マラソンのコース、すぐそこなんですもの。

森絵都の『ラン』のように
今よりもっともっともっとがんばってはやく走れたら、
すこしだけそっちの世界をのぞきに行けるかしら。

by shiho_kato | 2015-07-19 17:37 | 私ノート