むむちゃんの散歩道

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北村薫『リセット』

かつては単行本。
今回は文庫で読んだ。
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かつても、今回も、たまたま実家と東京を往復する外房線の車内で開くことになった。


車窓の風景と共に
読んでいた頃の時間が蘇る。


戦時に生きていた記憶が、三代をかけて蘇り、
輪廻を幾度も経て、
ようやくふたりの現世が重なる。

そうまとめると、
輪廻転生のロマンチックなファンタジックな物語なのだけれど。


そんな甘~い香り漂う物語でもない。
むしろ、
世代をリレーしていく手堅さが、ふたりを出会わせてくれる。

親から子へ、子から孫へと
繋いでいったからこそ、実った夢。

かといって、そこに伴う時代を生き延びる戦いみたいな重苦しさは無い。

このバランスのとれた、しっとりとした軽みが北村薫の持ち味。

再読して、あらためてこの人の良さに気づく。
次なる『ターン』も楽しみだ。

by shiho_kato | 2015-09-20 19:10 | 読書ノート