むむちゃんの散歩道

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ぷうちゃん、ラケットを失くした一日

ぷうちゃんがラケットを失くした。


よりみち公園に持っていき、もって帰ってくるのを忘れたことを、夜言い出すことができなかった。

そのかわりに、
「明日の朝のマラソンのコース、いきたいところがあるんだけど」
とぷうちゃん。

このところ、毎朝1kmくらいをぷうちゃんと走っている。

「どこに行きたいの?」
と尋ねると、内緒、明日のお楽しみとこたえる。

朝、見てみたいもの、朝、行ってみたいところがあるんだな、1kmマラソン、楽しんでいて良かったな、と嬉しくなる。


翌朝、ぷうちゃんの案内で走っていった先はよりみち公園。
なんだ、よりみち公園に来たかったのか。

水道でお水を飲んで、なんだかうろうろしている。

「ぷうちゃん、よりみち公園に来たかったのね」
と、声をかけると、もじもじしながら
「あのね、実はね、昨日、ラケット持って帰るの忘れたの」


なんだと~っ!!!

よりみちにラケットを持って行って、得意げに見せびらかすような感じや、
放り投げて目的外に乱暴に使う感じ、
どちらも私は気に入らなくて、持っていかない方がいいな、と伝えていた。
お気に入りのものを手放さずに常にそばに置いておきたい気持ちもわかる、、、と強く言えず、
「持っていくな」と一方的に禁じたかったところをぐっとこらえて。

その「ぐっとこらえた」部分を触発して、いかり爆発。


だから、
粗末に扱うなって言ったじゃないか、
テニスに使うものを他の物に使うなって言ったじゃないか、
忘れたのに気づいたなら夜のうちにさっさと言えばいいじゃないか、
久々の、ブチ切れでした。

私が持っていくのを良しとしていないことがわかっていたから、
忘れて帰ってきたことを言い出しにくかったのだろう。
それはわかるよ、私の態度にも問題あり、と自覚するけど抑えがきかない。


ふたりで公園をすみずみ探し見つからぬまま、朝のタイトな時間がぐんぐん目減りした。


帰宅後、朝食、片付け、出発の用意と、もう1秒もムダにできない。
ぷうちゃんが、昨日のよりみちのときに見なかったかみやぴに聞いてみるというので、
スマホを渡し、自分で聞きなさい!と。
いつもどおりのんびり起きてきたむむちゃんは、凍りつく雰囲気におののいていた。


結果、お昼前にはみやぴからの連絡で岡田さんがよりみちの収納庫を確認してくれて、
そこにしまわれていることが判明した。



夕方、仕事帰りにぷうちゃんと待ち合わせて公園に行く。
くれぐれも車に気をつけるように、いつもよりもしつこく言う。

「収納庫に仕舞われていることを、みやぴと岡田さんが探してくれたんだよ。」
朝よりはずっと冷静に落ち着いてぷうちゃんに説明した。

お礼言わなくちゃね、と言いかけたところに、ぷうちゃんが先に
「こんどの水曜日に、お礼言わなくちゃ」
不意をつかれて、ちゃんとそう思える子どもに育っていることに、ありがとうと思い泣きたくなる。


収納庫を開けると、そこにぷうちゃんの赤いラケット。

取りに来てもらうのを待っていたかのようなたたずまいに、涙が出そうになる。
大切なものとの不意の別れを覚悟し、再会できた喜びに似た。
私の怒りはこれ(別れの悲しさ)だったのか。。。

ぷうちゃん(と私)を悲しませる、ぷうちゃんの行為への怒り。


ラケットを取り出したのを見てぱぁ~っと破顔のぷうちゃん。
渡すと、胸に抱きしめて、涙をこらえて百面相しながら唇を噛み締めていた。

きっと、「ぼくのところに戻ってきてくれてありがとう」、って思っているに違いない。
二度とお別れしたくない、と思っているに違いない。

もう、私が、周りが何も言わなくても粗末にあつかったりはしない。
ぷうちゃんはそういう子だ。



朝、ぐっとこらえて、このときを待てば十分だったのに。
私と来たら。。。

でも、母だって人間だし、私など狭量な母なのだ。
イヤなものはイヤ、ダメなものはダメ、を持ち合わせた人間なのだ。
それでいいや。

大事なものは、大事にするんだ。


「みやぴにありました」の電話するよ、と言うと、
「ありがとう言う」とつぶやく。

うんうん、うなづいて電話を切って、笑顔いっぱいで帰宅した。
むむちゃんが、「あったんだ、良かったね」と笑う。
緊迫した空気が終わって、良かったねって思って笑ってるに違いない。と苦笑い。

家族は、こうした小さなでこぼこを一緒に積みながら、日々を暮らしてゆくんだ。
久しぶりに、しみじみとそう思う一日だった。

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by shiho_kato | 2016-04-21 19:44 | むむちゃんとぷうちゃん | Comments(0)