宮下奈都の『羊と鋼の森』が良かったので、図書館に行くとなんとは無しに音楽に関する小説を探している。
書架で出会った二冊。
熊谷達也『調律師』
タイトルどおり、調律師のお話。
『羊と鋼の森』に先駆けて、調律師のお話ってあったんだなー。
羊を読まなかったら出会っていなかったかもしれない。
藤谷治『あの日、マーラーが』
3.11の地震のあった日、すみだトリフォニーホールで新日本フィルハーモニー交響楽団によるグスタフ・マーラーの交響曲第5番の演奏が行われたそうだ。それをそのまま小説にした作品。
この小説を読んで、そんなことがあったことをはじめて知った。そうだったんだ。
マーラーの交響曲がどういうものか、読みながら思い浮かばない音楽弱者である自分を残念に思いながら、あの地震の不安の中で、演奏する側も聴く側も、胸を焦がす時間になっていただろうと想像した。
音楽を題材にする小説は意外とある。
瀬尾まいこ『やさしい音楽』、佐藤多佳子『第二音楽室』、大島真寿美『ピエタ』、中山七里『さよならドビュッシー』『おやすみラフマニノフ』『いつまでもショパンを』、福田和代『碧空のカノン』、藤谷治『船に乗れ』、赤澤竜也『吹部』、『表参道合唱部』のノベライズ・・・
まだまだまだまだたくさんある。
音楽への造詣はちょろっともなくって残念だけれど(ピアノもちっともモノにならない)、こうして小説読みの私のままでも音楽を楽しめ深めることができる。それだけで十分に満足。