むむちゃんの散歩道

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『動物のお医者さん』を読む効用~交感神経・副交感神経

『動物のお医者さん』は大好きな友人たかのちゃんの愛読書だった。

たかのちゃんの愛読するものには、いつも乗り遅れる。
京極夏彦は5年遅れくらい、『陰陽師』シリーズは15年遅れくらい、そして20年遅れの今『動物のお医者さん』。
電車の中でひとりニヤニヤして、むむちゃんにやめて気持ち悪いと言われながら読んでいる。

『ちはやふる』や『3月のライオン』が大大大大大好きで、それこそ私の人生を多分に左右するくらい大好き。
だけど、ワクワク、ドキドキしない『動物のお医者さん』とか『天才柳沢教授の生活』とか、静かに淡々としたものも劣らず大好き。
小さな日常の発見物語は俵万智の短歌に似ている。
心は少し動くけれど、居る場所は大きく変化しない。どこにも流れていかない安定した環境とメンタリティとに、安心する。


交感神経を刺激する『ちはやふる』や『3月のライオン』で、アドレナリンを放出することで元気になる時もあれば
穏やかなゆったりした気持ちで『動物のお医者さん』を読んで副交感神経に働きかけて元気になる時もある。
(医学的にどうかわからないけれど)そうイメージしながら読み分けられれば、漫画読書で自分の心身の体調を整えることができる(はず)。
漫画ってすごい。と、『動物のお医者さん』を読みながらの今日の発見。


漫画がそうなら、本もそうだ。
『羊と鋼の森』は副交感神経系、宮部みゆきは何を読んでも交感神経系。

図書館の書棚に向かって、今日はこのあたりがいいかな、これは別の時にしよう、手を伸ばしたり引っ込めたり。
そのとき読みたいものを選ぶだけであまり考えていなかったけれど、ワクワクの刺激が欲しいときと、そっと静かにしたいときと、で、当然ながら選び分けてる。
本の呼びかけにこたえながら、自分の心身の声を聴いていたのかも、と思うと、少し自分を信じてあげられる気持ちになる。



たかのちゃん、京極夏彦は交感神経系、動物のお医者さんは副交感神経系。
あのころ、それを知っていたら、がんばらない、がんばれない時期を、私たちもちょっとうまく乗り越えられたかもね。

疲れたら『動物のお医者さん』。
長らくかかって手に届いたたかのちゃんの置き土産だと思おう。ありがたく頂戴するよ。
お彼岸の最中。

by shiho_kato | 2016-09-22 21:40 | 読書ノート