この大会を逃すと、5月まで大会が無い。
むむちゃんの今季のC級昇級を目標とするラストチャンスの大会。
一回戦目は不戦勝。
むむちゃんは不戦勝は好きでは無い。次の試合の時に相手の動きに比べ自分の動きが悪くなるから。
だけど今日はいつもと違う方式の受付に、戸惑いながらバタバタの入りだったので、落ち着けるには良い時間。
私は会場のピリピリした雰囲気を避けて、ロビーでたっぷり読書タイムを過ごせて良かった。
二回戦目。
遠くて見えにくいけれど、動きからは割と取れているように見えた。
どちらもお手つきしないタイプ。
引き離しているように見えたけれど、札が少なくなってから、空札のあとにとれない。
「な」の札で続けざまに連取され、もう終盤戦というところで追いつかれた。
逆転されて、最後は運命戦にかろうじて持ち込んだ。
私の運命も、ぜんぶ使って、と祈る。
紫式部が味方してくれて一枚差で勝ち。
三回戦目はE級の1回戦目が行われるあいだ一回待ちが入った。
際どい勝ち抜け最後の一枚まで戦ったあとだったので、1回お休みが入ったのは良かった。
お昼時でもあり、少し食べておくように伝える。
E級の3人の試合がはじまるけれど、今日はむむちゃん応援でいっぱい。
さっきのハラハラする試合で張りつめ感が続いたので、この時間も外に出て、4階のランニングコースの傍らで本を読んで過ごした。
一回休憩のあとの三回戦目。
相手は手が出るタイプ。お手つき、共お手、ダブに助けられるけれど、差がつかない。
東会大会の運営も厳格。
会場の緊張感を乱すおしゃべりは外で。応援は座って。立ったままはNG。
神奈川ではそこまでの厳しさを知らないので、とても勉強になる。
コンマ何秒の取りはどちらが取ったか、離れた距離からではなかなかわからない。
ささいな反応の遅れが取りを左右する。
吐息すら、空気を乱してしまいそうで、息を詰めて見守る。
見ているのも苦しくなる接戦。目をそらして音だけ聴いていたくなる。
友人のまりぃが同会の子どもたちの応援で来ていて、まるで自分が取るかのように身を乗り出して集中している姿を見ながら、私も目をそらしちゃダメだ。わからなくても一回一回の取りに集中しよう。
息をとめて目をこらして、瞬きもせずに音を聴く。
先の回と同様、後半追い上げられ連取され、あと三枚、あと二枚のところから勝負を決めきれない。
最後は二枚差で、なんとか逃げ切った。
報告に行ったむむちゃんが役員の人から何か話しを聞いたあと、
頬を赤くして目を大きくして戻ってきた。
「入賞って言われた」
うるんだ目で、これってC級にあがれるってこと?と聞く。
ほんとうに入賞であれば昇級ということだ。
今年度中にC級にあがりたい。
ずっと言い続けてきた目標を、最後の最後に叶えた。
息をつく間も無く、次の試合。
入賞と聞いたので、これが準決勝だと思って臨んだ。
相手の子は、連戦で集中力が切れたのだろう。
さきの2回に比べて、楽に勝たせてもらった。
後で、この一戦は三位決定戦だったことを知った。
負ければ四位、勝てば三位。
少し休めた後に、次の試合。
これも決勝だと思って臨んだけれど、実際は準決勝だった。
むむちゃんはしきりにお腹を抑えて、見るからに空腹の様子だった。
集中力も切れて、本人は意識していないだろうけれどアクビも漏れる。
体力的に、ここが限界。
大差で負けて、さっぱりした表情で畳をおりた。
この試合終了後に「決勝戦を行います」のアナウンスがあり、今の一戦が決勝ではないことを知った。
トーナメント表の最上段同士のあたる試合がもうひとつあった。慣れていないがゆえの勘違い。
準優勝ではなくて三位に多少がっかりしながらも、今日はもうこれ以上は戦えなかったことはむむちゃんがいちばんわかっている。
別室で、前クイーンの坪田翼さんから賞状を受け取った。
JRから地下鉄に乗り換えたら、乗り継ぎなしで最寄りまで帰る行き先の電車が来た。ラッキー。
座席に沈み込むようにぐったり眠るむむちゃん。
大会後の爆睡は4年前から変わらない。
だけど、大きくなった。
勝ち気ではないし、ストイックでも無い。
でも、かるたをやりたい、かるたが好きだ、混じりっけ無いそれが芯となり、揺るぎなく淡々と真っ直ぐに競技者としてそこに立っている。
むむちゃんは折にふれて、たとえば母の日や、誕生日や、クリスマスなどに言う。
「いつも、かるたができるようにしてくれていて、ありがとう」
私への感謝であると同時に、かるたができる環境への感謝。
それを持ち続けられるあいだは、むむちゃんはかるたに生かされる。
楽しくのびのびと真っ直ぐにかるたに向かえるように教えてくれている先生には感謝しても感謝しきれない。
この昇級から先は、今までお世話になった先生のもとを離れて、新しい会へ移り段位の取得を目指す。
私は先生のもとを離れ新たな場所に身を置くことへ不安があるのだけれど、むむちゃんは強い人と一緒に練習したい、練習できるのが楽しみなのだそう。
頼もしく、逞しく、育ったなぁ。
4年前にかるたに出会って良かった。
親には育てることができないものを、かるたが育ててくれている。
そして、これからは、きっともっと、私には及びのつかないところへ向かっていく。
嬉しくもあり、寂しくもあり、安堵する思いもあり。
今日また、背負っている荷の一片を下ろすことができた。
長い一日、しみじみと、疲れたなぁ。
この4年、よくがんばったなぁ。と言いたくなる帰り道。
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以下、「東京東会大会」当日の覚書
日 時平成29年1月15日(日)A・B・C級/2月19日(日)D・E級
受付締切 午前9:30
受付場所
A級 文京区立かるた記念大塚会館(最寄駅・東京メトロ丸ノ内線 茗荷谷)
http://www.city.bunkyo.lg.jp/gmap/detail.php?id=1745
B・C級 文京スポーツセンター4階(最寄駅・東京メトロ丸ノ内線 茗荷谷)
http://www.city.bunkyo.lg.jp/sosiki_busyo_sports_shisetsu_sportscenter.html
D・E級 墨田区総合体育館2階(最寄駅・JRまたは東京メトロ半蔵門線 錦糸町)
http://sumidacity-gym.com/
参加費A・B級¥2,500 (一社)全日本かるた協会登録者
C級¥2,000 (一社)全日本かるた協会登録者
D級¥1,800
E級¥1,200
表 彰 各級ともに4位まで
競技方法(一社)全日本かるた協会の競技規程、並びに競技会規程によるトーナメント方式
審判長波多野 俊 六段 公認審判員
副審判長坪田 翼 七段 公認審判員 二宮 政章 六段 公認審判員
山賀 真理 六段 公認審判員 池上 三千代 六段 公認審判員
競技委員長関口 聡 六段
副競技委員長池上 裕隆 五段 片山 珠美 五段
読 唱福井 典子 六段 A級公認読手 久木田 裕一 五段 A級公認読手
木本 景子 四段 A級公認読手 池上 裕隆 五段 B級公認読手
松川 紀代 四段 A級公認読手(東京吉野会)
総務委員長 山梨 洋 五段
申込方法事前予備登録(A・B・C級)
申込期間(A・B・C級)平成28年12月9日(金)~ 平成28年12月16日(金)申込(払込)締切平成28年12月16日(金)
尚、申込期間後の大会にてD級で入賞してC級に昇級された選手に限り、参加申し込みを、平成29年1月10日(火)まで受け付けます。(払込締切:平成29年1月10日(火)まで)
申込期間(D・E級) 平成29年1月23日(月)~ 平成29年1月27日(金)申込(払込)締切平成29年1月27日(金)
注意事項 ・不参加者の払込済参加費は払戻不可、締切日後の受付不可とさせていただきます。
・申込後の昇級・欠席の場合は、随時ご連絡願います。
・靴袋をご用意くさだい。
※入賞者は一般社団法人全日本かるた協会ホームページに公開、マスコミ等に公表することもあります。予めご了承ください。
公 認 一般社団法人 全日本かるた協会
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当日、受付30分前に墨田区総合体育館に着くと、体育館を囲んで長い列。
武道館入口で名簿を渡される。
中に入るとすでに畳上に札番が設置されていた。
渡された名簿に自身の名前を探し、振られた札番号を確認し、すぐに畳にあがる。
畳にあがり対戦相手と向き合って座ったところで出欠確認がなされる。この出欠確認が受付。
壁には対戦カードを氏名がわりに、トーナメント表が貼り出されていて、対戦相手も一目瞭然。
勝敗は各トーナメント表の下にいる担当者に伝えに行き、その場で対戦カードに書き込み、
トーナメント表の駒を進めて転載する形だ。
このシステムが他では経験がないのでとまどったけれど、
慣れている人たちにとっては、スムーズな方法に違いない。
私たちは、D級2名、E級3名ともに朝9時に会場入りしたけれど、E級の開会式は12時半だった。
事前にお知らせは流れていたらしい。みなも知っていたのだろうか。
その時間に集団でやってくる選手たちもいたので、知っていた会と知らなかった会が混在していたのかもしれない。
試合はおおよそこんな流れ
9時半~ D級開会式
10時~ 1試合目(D級一回戦)
11時半~ 2試合目(D級二回戦)
13時~ E級開会式
13時半~ 3試合目(E級一回戦、D級休み)
15時半~ 4試合目(D級三回戦、E級二回戦)
17時~ 5試合目(D・E級三位決定戦)
18時半~ 6試合目(D・E級準決勝)
20時~ 7試合目(D・E級決勝)