むむちゃんの散歩道

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はじまりの陰鬱

四月の平日初日。

今日は、一年の中でも新たなスタートを切る人がもっとも多い日だろう。
通勤の電車はピカピカのスーツ姿に溢れている。


そして。
私は、この日が苦手なんだ。

この日にキチッと切り替える場に居合わせる体験が少ないのだけれど、過去に二度のそれを思い出しただけでも、ずっしり重い気持ちになり、脂汗が滲んでくる。


一度目は、はじめての転職?女子高の司書として勤め始めるその日。
一年間の休職のあとだったのと、春休みでもあって、むむちゃんのお昼のお弁当の用意と一日を過ごす先の確保に迷走。ぷうちゃんを時間通りに保育園に預けて朝出勤する、という手筈をこなすところまでで、どっと疲労感。
通勤電車も久しぶりで、4月のはじめの日は常になく乗車率が高くって、着なれないスーツも(この人入学式、卒業式しか着なかったけれど)体を緊張させた。
帰宅時には疲れきって車内でつのる気分の悪さを、保育園のお迎え時間を思い、必死にこらえた。たどり最寄り着いた駅でトイレに駆け込み、その足で保育園にお迎えに向かった。
保育園から家までの道のりも、そのあとの夕飯を作ったりなんだりも、ボロ雑巾のようで、その翌日からこの日々が延々と続くことに私の体は耐ええないかもしれないと思った。


二度目は、今の勤務先への転職。
今までよりも早い出勤で、ぷうちゃんを保育園に預けるのに、通常の保育時間では間に合わないから、はじめて早番の時間をお願いした。やっぱり春休みで、むむちゃんの一日の確保とお弁当づくりと、ぷうちゃんをいつもよりもはやく起こして食べさせて、はやく家を出て、、、というプロセスに汗だくになった。
通勤の電車はフレッシュマンで混んでいて、全体的に高い感じのテンションがみちる空間に辟易しながら。
勤務先近くの桜にほんの少し心がほどけた。
書類を書いたり、説明を聞いたり、あちこち紹介していただいたり、ご挨拶したり。情報量が多すぎて、処理が追いつかず、後半はあふれるばかりだった。
ぷうちゃんの保育時間は、帰りも今までよりも遅帰り。勤務時間終了と同時にダッシュ。
長くなる保育時間と、短くなる家事時間を、私はやりくりできるようになるのだろうか。
増大する不安を懸命に打ち消しながら、眠りに落ちる夜だった。



はじまってさえしまえば、人は適応する。
適応できる範囲でしか、できないものはできないということを身に刻み、
できる範囲の中で、チューニングしながら出力することが可能になっていく。
だから、たいていのことは大丈夫なんだ。

と、今は知っているけれど。



今朝のピカピカする人たちの群れの中で、パリッと切り替える日として今日を過ごさずに居られることに安堵する。そして、この中にひっそりと紛れこんでいるはずの同類たちに、ガンバレだけどガンバルナと、エールを贈る通勤路。




はじまりはフェイドイン。終わりはパツんが私は好きだ。
いつはじまったのか気づいたら始まっていた。
片付いても片付かなくっても、これで終わりです。
っていうのが、私は好きだ。



マラソンの大会によく似ている。
長い列の中程にぼんやりと佇み、号砲にすら気づかず、スタートラインまでだらだら進む。
いつスタートラインを踏み越えたか、うっかりすると気づかず踏み越えてしまう。
でもゴールはきっぱりしている。はい、ここでおしまい。



新しいスタートの日。
今日をシャキっと過ごせない人も、
今日を明るく前向きな気持ちで過ごせない人も、
フェイドインOK。
ぼんやりした時間ののちに、気づけばリズムに乗って日々過ごせている自分を発見したその日からスタートだと思えばOK。


桜が眩しいぜ。
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by shiho_kato | 2017-04-03 17:13 | 私ノート