前作『あと少し、もう少し』で、中学校駅伝二区を走った大田のお話だった。
高校生になった大田が、先輩の1歳10ヶ月になる女の子を、夏休みの1ヶ月間お世話することになる。
中学から喧嘩っぱやくて、高校でも中途半端な煮え切らないヤンキーで金髪ピアスの大田が、言葉もままならない小さな子と過ごすうちに・・・。
というお話。
女の子の鈴香ちゃんがよく描かれている。
そうそう、2歳前後の子って、そうだったよね。
そうそう、このくらいの子と一緒に過ごす時間ってこんなだったよね。
そうそう、どうしてこんなに幸せにしてくれるんだろうって。
あれこれ思い出されることが多くって、読みながら幸せな時間を過ごした。
16歳は、どうにでも転べる。
16歳で居た当時はもう自分はこれで完成してしまっていてあっと驚くような未来も無い将来も無い、、、そんな気分だった。
でも、ハタから見ると、あるいは振り返って見ると、16歳は、どうにでも転べるんだ。
大田を信じて任せようとする先輩が秀逸だ。
『あと少し、もう少し』の上原先生が、本書にも出てくる。とぼけてるけど本質だけははずさない感じが相変わらずいい。
お母さんも、肝も腹も座っていて、いい。
公園の子どものお母さんたちも、とてもいい。
気取らずに過ごしてみたら、生きるのがラクになる。
生きるのがラクになり、息をするのがラクになれば、ヘンな力身は抜けていくんだ。
瀬尾まいこは、そういう変化を「待つ」のが上手だと思う。
私は最近あれこれ結論を急ぎすぎだなぁ。
もう少し、待ってみよう。
できれば、大田のその後を読みたい。