むむちゃんの散歩道

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佐山和夫『金栗四三-消えたオリンピック走者』

「金栗四三」
たまたま何かの番組で、オリンピックのフルマラソンで、50数年をかけてゴールしたというシーンを目にして、興味惹かれた。
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金栗四三は、日本人初のオリンピック参加者である。
1912年に行われた第4回オリンピック・ストックホルム大会のフルマラソンのレースの途中で失踪し、競技場に戻らずに宿舎へ帰り、日本に帰国してしまったため、棄権確認やら何やらがなされないまま、「消えたオリンピック走者」となっていたそうな。


金栗四三を取り巻くメインストーリーはそれなのだけれど、
この本を読むと、それ以上に日本のスポーツ界に貢献した人だということがわかる。

全国各地を飛び回って、子どもたちも女性たちも、生涯、スポーツと共に健康でいようということを唱え、教え、実践して回っている。

ランナーを増やすために駅伝を開発?し、「箱根駅伝」の開催をはじめたのも、「福岡国際マラソン」をはじめたのも彼であり、1964年の東京オリンピックの開催にも大きく関わっている。
ちょっと偉大なヒトっぽいけれど、彼が教員をすることになったお茶女(当時の東京女高師)で、女子テニス部を創設したりとかいうエピソードを聞くと、なんだかぐっと身近に感じられる。
走るだけではなく、スポーツはなんでもありだったそうだ。


いま、むむちゃんの送り迎えで毎週出かけるかるた会館のある大塚近辺が、それらの取り組みの舞台になっている。
大河ドラマでは、今から100年前のそのあたりを見ることができるのかと思うと、ちょっと楽しみだ。

ちなみに、学校教育でもマラソンに取り組むようお願いした手紙を、全国各地の学校に送り、足を運んで、健康と体力作りに良いことを説いてまわったそうだ。
現在の体育の中で行われる「持久走」がその成果だとしたら、子どもたちには恨まれるべき所業だろうなぁ。

でも、お国を守るとか、国体強化のための、運動ではなく、体力とか健康とかを目的とした「体育」の価値の転換をしてくれたことには感謝してもいいかもしれない。

それを実践しつづけて、92歳で亡くなる直前まで、学生や子どもたちとランニングを楽しんだそうだ。

来年、宮藤官九郎の脚本でNHKの日曜日の大河ドラマとなる。今からとっても楽しみだ。




by shiho_kato | 2018-02-15 18:53 | 読書ノート