むむちゃんの散歩道

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文月悠光『洗礼ダイアリー』

小説だと思って読み始めたら、エッセイだった。
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詩人の文月悠光(ふづき ゆみ)
詩人アイドルという意味で「ポエドル」と呼ばれている時期もあったらしい。

作品を知らない彼女は、読んでいてもリアリティを感じることができなくて、エッセイなのに、小説を読んでいるような気分になった。

10代の後半から20代にかけて読んだならきっと、ヒリヒリと身に迫ってくる文章。
特に自撮りとかSNSとかスクールカーストとかカワイイとか、その年齢だからこそ縛りがキツくなることに関して書かれている文章なんかは。

そのお年頃の「私」は、
自分の外側を流れている時間の何倍もの時間が、自分の内側で濁流となり激流となり浮いたり沈んだりしていた。心の声が饒舌な時期だった。

今だって、心は相当におしゃべりで、ときどき始末に負えなかったりするけれど、それでも言葉がダダ漏れになることがだいぶ少なくなって、ダダ漏れの言葉に振り回されることもだいぶ少なくなってきて、油断さえしなければ、現実の世界と、内側の世界の間の、溝の深さに絶望しきったり、落っこちるようなことも少なくなった。


読んでいて、痛々しくもあり、懐かしくもあり、大丈夫。いまは濁流に呑まれなさい。必ず穏やかなる日にたどり着いてしまうから。とニヤリを笑って言ってあげたくもなる。


思いがけず読むことになってしまったけれど、こういう偶然もたまにはよい。


引用されていた彼女の詩は響かなかったけれど、引用されていた河合隼雄さんの文章は響いた。
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by shiho_kato | 2017-01-30 20:26 | 読書ノート | Comments(0)

ぷうちゃんとする将棋

最近、週に1回、ぷうちゃんと将棋をする。

将棋で負けるのは相当に悔しいらしい。
とくに粘って粘って、長引いた中で負けると、悔し涙がこぼれるくらい悔しいらしい。
なので、週に1回以上はしない、と決めたそうだ。


ぷうちゃんの将棋は、
はじめ、ただただ動かせる駒を動かす将棋だったのが、
玉を守り、飛車角を守る、守り一辺倒の将棋に変わった。

私は、どんどん攻めてどんどんとる攻め将棋。

二回対戦したら
次からは攻めてくる。
二手、三手先くらいまでを考えて、動かす、動かさないを決めるようになったので、手ごわい。
日々、あれこれと私の想定を越えて考えて動いているぷうちゃんらしさが将棋盤にあらわれて面白い。


現在のところ5回やって、ぷうちゃんの二勝三敗。
悔しくて悔しくて、ぼろぼろ泣いて、眠れないほど悔しいと言いながら、寝てしまった。

さてさて、その悔しさに、次はあるかしら?

by shiho_kato | 2017-01-27 18:56 | むむちゃんとぷうちゃん | Comments(0)

近藤史恵 整体師シリーズ『カナリアは眠れない』『茨姫はたたかう』『『シェルター』

近藤史恵の自転車小説シリーズが面白かったので、他の小説を読み直し中だ。

今回読んだのは、整体師シリーズ。20年は言い過ぎだけれど、携帯を持つことがそれほど当たり前ではなかった時期の小説だ。
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『カナリアは眠れない』は、買い物依存、摂食障害のお話。
『茨姫はたたかう』は、ストーカーのお話。
『シェルター』は、姉妹と、アイドルのお話。

女性であるだけで、落ちそうになる穴というか罠というか、に焦点があたったテーマは、いま読んでも古びていない。

肩こりとか腰痛とか頭痛とか腹痛とか足のむくみとか身体のむくみとか微熱とか、
肉体を駆使して生じる痛みではなく、ストレスだったり疲労だったりに由来することは往々にしてある。

生活やら仕事やら人との関係やら生い立ちやらで、日々蓄積されていく「歪み」が、きちんと身体にあらわれるとしたら、それはむしろ健全と言ってもいいかもしれない。
ちゃんと、その歪みの正体に気づき、それを解決していくことを促してくれる手があれば。

昨今、整骨院や接骨院や整体やマッサージのお店が増えている。
どこに行っても、駅前にはそれらのお店(と歯医者さんが多いのはなぜだろう)が複数ある。

歪まざるを得ない、疲労やストレスを溜めずには過ごせない、社会なんだろうな。
マサさんは、やってくる人たちとどんなふうな気持ちで向き合っているのだろう。
今度、聞いてみよう。




by shiho_kato | 2017-01-26 18:39 | 読書ノート | Comments(0)

中澤日菜子『お父さんと伊藤さん』

映画化された時には心惹かれなかったのだけれど、
ちょっと前に読んだ中澤日菜子の『PTAグランパ』が面白かったので、読んでみた。
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彩には上野樹里を重ね、伊藤さんにはリリーフランキーを重ねながら読んでしまうのだけれど、そのまますっと読めた。
その配役はあっていたのではないかしら。

そして、なんだか良かった。
冴えない設定の、冴えない物語で、なかなか誰もハッピーにはならないのに。

小さなイラ立ちと折り合いをつけられなくってもがいたり、日々を流されて幾日も経っていってしまったり、そういう不可抗力の推進力に運ばれながら進むお話だった。

伊藤さんのキャラが、私の好みにあっている。
目の前のことに逆らわずに淡々と吸収していくあたりが。

吸収できる突出した広い器がある、わけではなくって、微調整しながら隙間に流し込んでいくことができる。
満員電車でも、無駄に抵抗せずに自分のスペースをおのずと獲得できるような。
(満員電車は、抵抗すればするほど物理的にも、また気持ちの上でも侵略されがちだ)

こんな風に吸収できる人が、私にとって一緒にいると安心な種類の人なんだ。
と、気づいた。




このところ、読むのと書くのとの比重やタイミングのバランスが崩れていて、
大切な言葉をいくつも逃している。不意にガツンと胸の奥に入ってくる言葉もあるのに。

どの作品の、どの言葉か、どんな言葉か、すぐに忘れてしまうのは残念だけれど、
きっと、今の私には、ガツンとくるものであり、
未来のどこかの私には、必要の無い言葉であるに違いない。

読んだそのときに、心が大きく揺さぶられた、あたたかくなった、やさしい気持ちになった、その事実だけあれば、いい。
ということに、しておこう。


by shiho_kato | 2017-01-23 18:56 | 読書ノート | Comments(0)

むむちゃん名人になる

むむちゃんの学校で百人一首大会が行なわれた。

1年生はちらし取りのチーム戦。
2,3年生は3人ひと組での源平戦。
全学年ひとクラスに一人ずつの代表戦による名人戦。

みっつの戦いが同時におこなわれた。

競技仕様ではない、上の句からはじめる読みであり、
そのうえ、抑揚をつけた読みで、久々に聞くその音に落ち着きが悪くて座りの悪い思いをぐっとこらえて。

国語科主導の学校行事だそうだ。
上の句だけではとれない生徒の方がもちろん多いので、上の句から下の句までほぼ一気に読む形になるのは、百歩譲ったとして。
それらしく競技するようであれば、正当なかるたの読みをして欲しいな。。。
お正月の子ども向けの百人一首セットについてくるCDですら、平板読みがノーマルなのだから。
(たまたま私がかつて持っていたものがそうだった、ということもあるだろうか)

とか、口うるさい保護者。に化しそうになるのを胸の中にぎゅっと抑えて、
みなの様子を見て回った。

楽しそうに取れていれば、それがいちばんいい。

むむちゃんの様子はところどころだけ。
あまり傍でかじりつくように見るのもイヤだろうから。

なかなか取らせてもらえないものだなーと思っていたけれど、
終わってみたら、三分の一はむむちゃんが取り、四分の一はS姉さんが取り、残りを他の5人が取り、という結果だった。

名人戦で一番になると、名人の称号をいただく。
表彰式で名人のむむちゃんと、準名人のS姉さんとが、二人で並んで前に立った。

いま、月2回毎度20名を越す子どもたちがやってくるかるた会は、
このふたりから始まった。そう、たったの二人だったんだ。長いこと。
胸がじーんとする。

当時まだ小学生だったふたりが、こうして中学生として並んで立つ。
そして、もう二度と同じ学校の生徒として、並ぶことはないんだろうな。
胸が熱くなる。


小さな達成だけれど、記念には違いない。
あわててケーキを買いに走った。

クイーンじゃなくって、名人。
ここでしかもらうことができない、貴重な名前。
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かるたのおかげで、この小さなコミュニティの中にもむむちゃんの居場所がある。


by shiho_kato | 2017-01-20 21:35 | むむちゃんとぷうちゃん | Comments(0)

本の小説 校正、編集、出版、書店のガールたち

『桜風堂ものがたり』は、物語としてとても良かった。
しっとりとした、静かな空気感が、とても良かった。

昨年から、本屋さんや本作りの、出版やら編集やらの小説を読む機会が多かった。

昨年ドラマ化された『書店ガール』と『校閲ガール』は、
どちらもドラマでは見ていないけれど、小説はドラマ化されるより前に読了済み。
読む人がふえればいいな、と、思ったお話だったので、ドラマになって良かった。

碧野圭『書店ガール』は5巻まで出ている。続きはあるのかな。

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宮木あや子『校閲ガール』は『校閲ガール ア・ラ・モード』と『校閲ガール トルネード』の3巻まで出た。
まだ続きそうな気配がする。3巻が特にお気に入りだ。
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書店に校正、と、くれば、編集?
『編集ガール』もちゃんとある。

私はお仕事小説が好きだ。ワーキングウーマンのお話には、働く苦悩や、不安や、勇気や、潔さと、
「好きだったとしても迷いながらなんだよー。」な感じが好きだ。
五十嵐貴久『編集ガール』は残念ながら、とっても男性目線な小説で、オンナが揺れるのはそこじゃないし、オンナが苦しくなるのはそこでもないから、、、が、満載で、イラっとした。
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書店に、本を下ろす出版社のお話もあった。
里美蘭『ミリオンセラーガール』
本が本屋さんにどう並んでいくのか、書店ガールには無い詳しさで、本の流通のことがことこまかに書かれていて、あらためてそうなんだ、と知れたことが多かった。

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そう言えば、小説化されたら読みたいなーと思っている『重版出来』なんかも本のお話。
出版不況なのに、本を作ったり、売ったりする小説は元気だ。

かるたで食べていけないかな・・・と、思い始めているむむちゃんの、「地に足のついた」将来の夢は、本に関わる仕事に就くことだそうだ。
それがどんなお仕事か、そこで働く女性たちの姿をもあわせて教えてくれる小説がたくさんあって嬉しい。

by shiho_kato | 2017-01-19 14:39 | 読書ノート | Comments(0)

村山早紀『桜風堂ものがたり』

本屋大賞の候補作が発表された。

読んだ本が5冊と、読んでいない本が5冊。
読んでいない本のうちの一冊をさっそく。
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村山早紀の書く小説は、長く入っていられるお風呂のように、ぬるあたたかい。
文章も、けしてなめらかな上手さはない。

白湯のような小説だと思っている。
病み上がりなんかに読むのにいい。

今回の『桜風堂ものがたり』は、設定がいい。
やわらかさ、しずかさ、淡々と、とつとつとした調子がいい。

本屋さんに、なりたいなぁ。
そう思う人がきっと増えるはず。
本に携わる仕事がしたいなぁ、とぼんやり描いているむむちゃんは
いま『蜜蜂と遠雷』を読んでいる。読み終えたら、次はこれをすすめてみよう。


同じく本屋大賞の候補作『ツバキ文具店』と雰囲気がよく似ている。絵が似ている。
どちらも、二時間ドラマに仕立てるといいなぁ、お正月の「富士ファミリー」のような、平和なあたたかいお話になるに違いない。

by shiho_kato | 2017-01-18 18:54 | 読書ノート | Comments(0)

たかのちゃんとおしゃべりをしに

かるたの練習がなくて、走ることもできなくて。

いいお天気で、室内で映画を見る気にもなれなくて、読書だけで過ごすのは物足りなくて。

やるべき家事が目に付くお部屋からは脱出したくて。

やるべき仕事ができてしまう環境からは遠ざかりたくて。

たかのちゃんのところに出かけた。
ついうっかり、一年以上が経ってしまっていることに気づく。

水仙と菜の花にポピー。
明るい色のお花を選んで。

たかのちゃんのところには、まだ青いお線香。
もしかしたら午前中、あるいは昨日、おうちの方が来ていたのかも。
も少しはやく着いていたら、お母様にお会いできたかしら。

梅と木瓜の花がすっくと空に伸びていた。

おしること肉まんでおしゃべり。
たかのちゃんがこの時期に買うのは、おしることコーンスープだったよね。
コーンがうまく口から出てこない、あずきが口から出てこないって、クルクル回しては仰いで飲んでた。
たかのちゃんは肉まん派だったよね。あんまんでも、ピザまんでも無かったよね。

こんなことがあってね、あんなことがあってね、こーでね、あーでね、
だよね、そうだよね、ちがうよね、それでもいいよね、そうじゃなくってもいいよね


なんでも、大きい目をびっくりさせたり、ぎゅっとつぶったりしながら、
うんうんうんうん聞いてくれるたかのちゃんに、
今日は甘えに来たんだなー。

よくしゃべる自分の口に、驚いた。


満足して、まわりを見渡すと、空きの多かったところがポツポツと埋まっている。
たかのちゃんと向かい合わせるように、「当歳」の子。
10歳かと思ったけれど、違った。1歳の子なのね。

たかのちゃんのもとにはお花がたくさんだったから、いくつか分けていいよね、って、
水仙とポピーを二本ずつおすそ分けした。

おちびちゃん相手に、怖い話ができるね。
怖い話をするには、まだまだまだまだおちびちゃん過ぎるかな。


じゃあね、またね、と手を振った。
たかのちゃんの大きな笑顔に見送られて、もう少しがんばれそうな気持ちになった。

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by shiho_kato | 2017-01-15 15:56 | 私ノート | Comments(0)

ぷうちゃんの御朱印巡り@ドラゴンボール・スタンプラリー

JRの都区内パスで、山手線あたりの路線を回るドラゴンボール・スタンプラリー。
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ぷうちゃんと、3時間ばかりかけて15ヶ所回った。
ぷうちゃんが好きなキャラクター、スタンプ集めたいキャラクターにマルをつけ、駅と駅の移動のしやすさを考えながら。

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一駅ごとに、電車を降りて、階段を下りたりのぼったり。幾組みもの家族とあちらこちらですれ違った。

よい大人とも同じくらいすれ違った。
弟が小学生のときに連載スタートしたから、そういうお年頃にリーチする企画。
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七福神巡りに似ている。
いつの間にやら、なかなかの歩数を歩いている模様。

7つ回るとカードダス?(何かわからず)
30駅回るとオリジナルピンバッジを一つもらえるとか。
全駅回ると65駅。それをクリアするとオリジナルピンバッジセットをもらえるとか。

二月末まで。
ぷうちゃんをデートに誘うステキな口実。
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by shiho_kato | 2017-01-14 19:59 | むむちゃんとぷうちゃん | Comments(0)

こうの史代(蒔田陽平ノベライズ)『小説 この世界の片隅に』

映画で話題になっているので、映画館に行こうかと迷いながら
先に小説を読んでしまった。
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もともとはコミックだったもののノベライズ小説。
こうの史代の『夕凪の街、桜の国』を思い起こしながら、想像をたくましくして読んだ。

戦時にありながらの、淡々とした静かな生活、ひょうひょうとしたすず、やわらかなユーモアのある家族たち。
その「淡々とした」「ひょうひょうとした」「やわらなかユーモア」を保つことがどれだけ尊いか、
終わりの方に向けて苦しく、厳しく、辛くなっていく中で、際立ってくるんだ。

小説を読んだら、映画に行く気が失せてしまった。
音が、絵が、きっとこうして読んでいる以上には、にぎやかで、鮮やかに違いなくて、それは要らないな、という気分になったから。

映画は観ていないけれど、多くの人が観てくれたらいいな。
「これがいい」と思ってくれたらいいな。



戦争に反対する、いちばん大きな力は、「戦わない心」だと思う。

戦わない心を持つだけで、抑止力なるとかそんなことを言うつもりはないけれど、
戦う気の無い人が大勢であれば、「勝てる」とは見込まない。
「勝てる」とは見込めない戦いをはじめるほどには愚かしく無いと信じよう。

それともごくごく一部のマッチョな人たちが、ごくごく一部のにわか兵士を押し出して
「勝てない」戦いに挑んでしまったりするのかしら、この国は。


by shiho_kato | 2017-01-13 16:41 | 読書ノート | Comments(0)