むむちゃんの散歩道

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内田樹さん『日本辺境論』新潮新書

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読みながら、親切な人だなぁ、と、思った。

ふと沸きそうな疑問に先回りして答えてくれる。
もしかしたらくどいのかもしれないけれど、そのリフレイン解説で、ようやく理解が届く。
あくまで、話し言葉を用いながら、むずかしさを感じさせずに本丸に斬り込む。
同じように、あらかじめ断りや、反論予想や、を、提供している本田由紀さんの『教育の職業的意識』(ちくま新書)は先に読み進むのが大変。
難しい言葉の概念理解にスリーステップくらい必要で、通勤中では頭の回転が追い付かない。


日本辺境論、面白いです。あっという間に読み終えた。

日本には、拠り所となる本質はなく、
他者との比較でしか成り立たないというのが、日本(日本人)の本質なんですって。

阿部謹次さんの『「世間」とは何か』(講談社現代新書)に通じる「感じ」は理解を助ける。

読んで、気が楽になるキモチになる。

と、同時に「長きにわたる他者の目や他者との比較(による自己理解)から解き放たれた私」が
確かに私の中にいるのをどう理解したらいいのか、途方にくれる。

学びの中や意識無意識で蓄積されたなにかの中から、脳裏にたちあがってくる閃きを
たとえロジカルじゃなくても、信じてみよう、書いてみよう、話してみよう、と、チャレンジしている今、
どこか、自ら考えることは無意味だ、と、
「ひざカックン」されているような、気がしてならない。


でも、面白い本です。

特にこれを一国の首相たる、鳩山さんが、
日本のアイデンティティを、積極的にアイデンティファイする方向で、
うって出るのかは、とっても興味深い問いだと思う。

鳩カフェで、読後の感想はつぶやかれるのかな。
by shiho_kato | 2010-01-22 17:24 | 読書ノート