むむちゃんの散歩道

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映画「しあわせのパン」を観に行く。しずかな、ちいさな、しあわせを。

やっと観に行くことのできた
「しあわせのパン」

静かに、しあわせな時間を過ごした。

小説を読んで描いていたシーンとは異なる情景も、
人々たちも、それはそれで十分に、
カフェマーニの世界の中に包み込まれていて
満足でした。

パンをちぎって分け合う仲間たち。

手の届くところにいて、
食べることをともにして、
多くの言葉は交わさなくても、
同じ時間に、同じ空間の中に、互いを気遣いながら
生きている、その息づかいそのものが
生きていることの尊さであり、
しあわせそのもの。

じんわりと、しみじみと、身にしみて感じることができた。

夢から覚めてしまいたくないように、
映画の終わるのをできるだけ引き延ばしたかった。


水島君が、あらわれないかな・・・。
この目の前の現実から、
月浦に連れ出してくれるような。

ある面でみると、スローライフを希求する
今どきの白馬の王子様ストーリー。

そして、だけれど、りえさんは、
連れ出されただけでは、しあわせには、
なれなかった。

そのことを、りえさんも、
水島君も、知っている。
そして、りえさんが、
しあわせを手のひらのなかに見つけていくまでを、
水島君が静かに待ち続けることができ、
見つけていくことを急がないりえさんでいられた、
ということが、この物語に深みを添えている。


映画のおともはむむちゃんだった。
むむちゃんに、水島君のような人と結婚するとしあわせだね、
と言ったら、髪がもじゃもじゃだから、ヤダよ〜、と。

スキップしながら前を歩く。
お店から流れてきた木村カエラのバタフライ、
この曲いいね、と口ずさみながら、手をつなぐ。

そうね、月浦の静かなしあわせが心にしみるには、
まだまだまだ早すぎるね、むむちゃん。

りんごと蜂蜜のパン、おいしそ〜だったなぁ。
と、つぶやく。

つないだ手のあたたかさと、
あっけらかんとした明るさと。
私のパンを分け合う仲間は、ここに居る。
白馬の王子様を待たずとも。
by shiho_kato | 2012-03-02 13:26 | 読書ノート