むむちゃんの散歩道

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♪連れて帰ったのは、涼しさでした♪ ~ 戸隠

体調を見事に崩し、、
思いのほか多忙に迎えてしまった週末でした。

そして、『レッド・データ・ガール』を読んで以来、
あぁ、行かねば!
私は戸隠に行かなくてはならない!!!
と、思い込み、かつ、戸隠神社で月に数回行われている「太太神楽」
上演に合わせた日にちで、行かなくては!!!
という思いにとらわれ、
上演日程にあう休日を探し、
なんとかムリやり確保できたのが、7月15日早朝6時半宝光社の神楽。

先週早退して病院に駆け込んで以来、諦めるか否かの葛藤の一週間。

でも、行かなかったら、ここで行かなかったら、
私は一生行けないまま人生を終えるかもしれない。
それは、とっても悔いが残る。
体調の悪いのは一週間か一か月かひきずるだけだけど、
一生行かないとなれば、死ぬ時に悔いが残る、
と、まで思いつめて、行くことにした。


そして、行ってよかったです。
だって、とってもとってもと~っても、涼しかったんですもの。
薄い長袖をひっかけてもいいかな、と思えるくらい、
半そでで、ぞぞぞっと鳥肌が程よくたつくらいに、
涼しかった。

来て、良かった・・・。
体が喜んでいるのが、しみじみとわかったのでした・・・。

時は善光寺の祇園祭とあたり、
長野市内の大渋滞をゆっくり抜けてバスは一時間かけて一路戸隠へ。

戸隠五社をまわりたかったので、
まず一番奥の「奥社」へ向かいました。

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よく写真にも載る杉木立。
涼やかな、ぶるっとするくらいの風が吹き抜けていく。
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その脇を山水が川を流れていく。
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帰ってきたよ、の気持ち。
生まれ育った北海道の裏の山の中と、同じ空気が流れている。

伊勢よりも、もっと自然と渾然一体な空間の参道。


「奥社」は、ボロッとしていて、小さくって、
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その隣の「九頭竜社」はさらに、ボロッとしていて、小さくって、
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なんだか、「社」の建物じゃなくって、
この自然そのものが、戸隠の「奥の院」すべてなのです、と、
全肯定しているようで。

天照大御神が、籠ってしまった天の岩戸の
「戸」がぽ~んと飛ばされてきて隠れた、戸隠。

日本の古来の始まりの伝説は、
八百万の神の宿る自然崇拝。
その原型を肌に感じた。

思っていたより、人は多くて、
冬場は立ち入り禁止になるエリアなので、
この時期ならではの、特別参拝ツアーなるバスツアーなども
あったりはして、、、だったけれど、それでも満足。


ちなみに奥社で引くおみくじは「年齢御籤」というもので、年齢を言ってもらう。
そしてどんな言葉が書かれていても持ち帰り生涯の教えにするように、と。
ちなみに「吉」
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苦労した分だけ、子どもたちにたくさんのものを残せる幸せがおとずれるよ、
と言う意味のことが書いてあって、生き様そのものというか、このままいっていいよ、
と言われている気分だった。
そうぷうちゃん、むむちゃんだけではなく、
子どもたちが子どもの時代を安心して思う存分送れるように。
そのための苦労はせよ、ということなら、
ほんと、このまま迷うな、と言われているのと一緒だ。



そのあと「中社」へ。
中社は開けていて、奥社よりも大きかった。
800年とか600年とか500年選手の三本杉があり、
運の良いことに、神楽舞ををやっていて、しばし見物。
ちょうどかわいらしい巫女さんたちが岩戸開きの舞を舞っているところでした。
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そこから「火御子社」と「宝光社」へ。
火之御子社」は無人の神社。
戸隠五社の中に無人の神社があるというのも、またなんとも言えず。
しかも祭神は岩戸を開ける功労者で超有名な「天鈿女命(あめのうずめのみこと)」なのに~。
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宝光社」はかろうじて神主さんがおひとり。
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「天表春命(あめのうわはるのみこと)」という初耳の、女子の守り神がご祭神。
急な傾斜の階段を三つにわたってのぼった先にあった。
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明朝の神楽上演の宝光社から徒歩1分のお宿に入りました。
宿坊を旅館仕様に手を入れたであろう作りのお宿でした。
水回りは、みな共有。

夜中に強い雨が降り、明日の神楽は大丈夫かな、と案じていたら、
翌朝は青空。
6時に起きだして、パパッと支度をして、
三つの急な階段を上って振り向いたら、向こうの山並みが青い空にきれいにくっきりと。

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境内に入り、「天の岩戸」の伝説の流れに沿った神楽を見た。
時間にして2時間弱。
笛に太鼓に舞。
『レッド・データ・ガール』にあるようなトランスはしなかったけれど、
時折ふっと、祭神の顔を見るような、時折ふっと意識が別のところを漂ってしまうような、
そんな時間だった。
風が吹くと寒いくらいの10度台の気温。

しっかり堪能したら、
お神酒と、ご供物をいただいてしまった。
見ることが神様への感謝になるらしい。
伝統芸能を支える力になるんですって。良かった、力になれて。

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宿に戻ったら、先ほど舞台で舞っていた舞人の一人が。
その宿のご主人は舞人さんでいらっしゃったそうです。
得した気分。


満足して、帰るばかり。
帰りも起点は長野駅。
せっかく来たからお参りくらいしようね、と、
善光寺詣で。
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戸隠神社との静謐さとのギャップに驚く。
こんなに俗っぽくっていいのか、善光寺!
と思えてくるくらいだった。

ご回廊も回ってしまったし、山門にものぼってしまったのだけれど。
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ついでに最近できたばかりのにぎり地蔵をみたり。
なんだっけ、ほら、あれ、あれに似てる、えっと・・・と言ってたら、
隣からおばさまが、「顔無しでしょ!」と。
そう、顔無し。かわいい顔無し。
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*********
神道の教義はわからないけれど、私が古典文学で学んできた
神代の時代の、自然崇拝の神様は、好き。

島が生まれるのと、人が生まれるのと、同じレベルで語られる伝説は好きだ。
土にも、水にも、山にも、木にも、石にも、火にも、花にも、草にも、風にも、
神は等しく宿る。

キリストだけを神としなくて良い。
ブッダをこそ神としなくて良い。

そこいらの、私が美しいとか畏れ多いと感じた、風音やら空の色に
神をみて、命あることにおのずと感謝を感じるのは心の在り方として自然で自由。

戸隠に行って、しみじみとそう感じた。
旅行は疲れる。
移動とか、日常を離れるのはとても疲れることなのだけれど、
今回は、行って良かった。
暑さを一休みして、
この夏、乗り切れそうな気がしてきた。

と、思って帰ってきたら、東京は涼しくなっていた。


「連れ帰ったのは、涼しさでした ~ 戸隠」
と、勝手にコピーと作り、音楽を頭の中で流して、ひとりCM。
by shiho_kato | 2013-07-17 21:09 | 旅ノート