むむちゃんの散歩道

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あさのあつこ『I love letter』

少し前に、小川糸が書いた『ツバキ文具店』は手紙の話だった。代筆屋さん。

今回のあさのあつこも手紙の話。こちらは文通屋さん。

デジタルに疲れて、アナログでひと息吐きたい頃なのかしら。


あさのあつこ『I love letter』_d0134102_18301780.jpg

相手を思い浮かべて、字を書く行為が好きだった。
筆まめの手紙魔だったのは20年前。

今はほとんどしなくなってしまった。
子どもたちへの誕生日のお手紙、おばあちゃんへのお手紙。
添え書き、年賀状。

手紙を書くときに使うボールペンまで決めていたのに。
いくつもの便箋を常時手元に置いていたのに。

うまく落としきれない言葉の不足を、文字や、空白が補ってくれる。
時に書かれた言葉以上に、雄弁に伝える空白もあり、文字の乱れもある。

メールにすると、足りないことが怖くって言葉を継ぎすぎるか、用件のみで口を閉ざすか。
仕事にはメールが向いている。


結論の無い、あてどない言葉の「やり」「とり」をゆっくりのんびりできる相手がいるのは幸せなことだ。

もうちょっとオバサン度があがっっていったら、やりとりのスピードを遅らせて行こう。
どんどんどんどん遅らせて、いずれはそれでもつながり続けることのできる人とだけ、つながれればいい。

by shiho_kato | 2016-11-01 11:56 | 読書ノート