むむちゃんの散歩道

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こうの史代(蒔田陽平ノベライズ)『小説 この世界の片隅に』

映画で話題になっているので、映画館に行こうかと迷いながら
先に小説を読んでしまった。
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もともとはコミックだったもののノベライズ小説。
こうの史代の『夕凪の街、桜の国』を思い起こしながら、想像をたくましくして読んだ。

戦時にありながらの、淡々とした静かな生活、ひょうひょうとしたすず、やわらかなユーモアのある家族たち。
その「淡々とした」「ひょうひょうとした」「やわらなかユーモア」を保つことがどれだけ尊いか、
終わりの方に向けて苦しく、厳しく、辛くなっていく中で、際立ってくるんだ。

小説を読んだら、映画に行く気が失せてしまった。
音が、絵が、きっとこうして読んでいる以上には、にぎやかで、鮮やかに違いなくて、それは要らないな、という気分になったから。

映画は観ていないけれど、多くの人が観てくれたらいいな。
「これがいい」と思ってくれたらいいな。



戦争に反対する、いちばん大きな力は、「戦わない心」だと思う。

戦わない心を持つだけで、抑止力なるとかそんなことを言うつもりはないけれど、
戦う気の無い人が大勢であれば、「勝てる」とは見込まない。
「勝てる」とは見込めない戦いをはじめるほどには愚かしく無いと信じよう。

それともごくごく一部のマッチョな人たちが、ごくごく一部のにわか兵士を押し出して
「勝てない」戦いに挑んでしまったりするのかしら、この国は。


by shiho_kato | 2017-01-13 16:41 | 読書ノート