むむちゃんの散歩道

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本屋大賞 辻村深月『かがみの孤城』の受賞後のメッセージ

今年の本屋大賞の、ノミネート作の中から選ぶなら、
間違い無くこれ。

作品については、以前、読了の感想を書いた

作品もとてもいいのだけれど、
輪をかけて、辻村深月の本屋大賞受賞後のインタビューがとてもいい。

あちこちにコメントは取り上げられていたけれど、
最も長くまとまっているこちらのインタビューは、
作品と共に、
いや、いっそ、作品と切り離しても、読む価値がある。

yahooニュース「「不登校する勇気はなかった」辻村深月が本屋大賞受賞作に込めた思い」
(2018.4.11配信)


デジタルの記事は、時間がたつと消えてしまうから、全文テキストでこちらに写し取りたいけれど、
著作権的にはマズイだろうから、自粛。
どうぞ、消さずにいつまでもリンク先が残ってほしい。
このメッセージに勇気づけられる人、息を殺して生きる自分を肯定できる人が必ず居るはずだから。

かつての私がそうだ。

*****

不登校新聞の石井志昂くんの質問に答えた彼女の言葉。
「中学生のときから、不登校は“逃げた”ではなく“休む勇気”を持った子たちだと思っていました。私にはその勇気はなかった」

これは私の言葉だ。
繰り返し繰り返し、あちらでもこちらでも書いて話してきた。
10代のころの私は、レールの外に、枠の外に出ることができなかった。
身体を壊すところまで行ってはじめて、休むことができたんだ。

だからこそ特別な場所ではない、みなと同じ場所に身を置く子どもたち「フツー(に見える)の子どもたち」にこだわって、チャイルドラインで仕事をし、いま学校という現場で仕事をしている。


*****

インタビューの中のスクールカウンセラーさんの言葉がいい。
・・・
『この(スクールカウンセラーの)仕事は風のようであってほしい』

『○○先生のおかげで今がある』と名前に感謝されているようではまだまだで、気がついたらつらい時が終わっていた、いつの間にか高校生になっていたと思われるくらいでちょうどいい。その時に自分を引っ張り上げてくれた風のような感触だけが残ればいいんだと。
・・・

これも繰り返し書いてきたことだけれど、「やり過ごす」は大事なキーワードだ。

子どもたちに「打ち克つ力を持って」「立ち向かう勇気を持って」そういう励まし方をしたくないんだ。
今をいちばんツラい時を、ぎゅっと目をつぶって、そっと息をのんで、やり過ごすことさえできればいい。
やり過ごすための場所、やり過ごすための目をそらしていられるだけの「何か」があればいい。


私にとって、図書館も、本も、映画も、マンガも、そしてかるたも、走ることも、旅をすることも、目をつぶることも、ため息を長く吐くことも、お風呂の中で本を読むことも、その「何か」だ。

たいていのことは、時が運び去ってくれる。
たいていのことは、きちんと過去になってくれる。


そういう「何か」を、「あなた(や、その周辺)を見ていると得られ」そうな気がする。

そういう人になりたい。
そういう図書館でありたい、そういう家庭でありたい、そういう友人でありたい、そういう他者でありたい。


辻村深月は、小説として作り出し、職業として背負っている。
立派です。



本屋大賞を受賞したから、という理由で、むむちゃんが『かがみの孤城』を読み始めた。
私とはまったく違う感性を持つ彼女は、どんな感想を持つのだろう。
読み終えたあとのやりとりが楽しみだ。
とても、楽しみ。

私たちに、共読のきっかけを落としてくれる本屋大賞に、感謝。


by shiho_kato | 2018-04-11 21:48 | 私ノート | Comments(0)