むむちゃんの散歩道

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教育の本3冊 『日本の公教育』『データで読む教育の論点』『日本の15歳はなぜ学力が高いのか』

教育論のお話じゃなくって、教育の制度とお金のお話。


子どもを対象とした教育って、どんな教育が子どもにとって有益か、
が、先にあるんだと思う。

わたしは、今の教育カリキュラムに大手を振って賛成できないし、
私の狭い世界で、実際に直接目にすることができる、個々別々の教室、教員の中に、
こんな教え方して欲しくないなーー、こんな接し方して欲しくないなーーと思う場面に、
ときどき出くわしたりもする。

だから、どんな教育であれ「とにかく「教育」と名の付く制度を整えればいい」、
と、思っているわけではない。


だけど、日本の子どもの貧困のことを勉強すると、それでも今の日本において、
お金のことが障壁になって学べなくなることが、とてつもない損害であることも知る。
別に、学歴が低くて賃金の低い職にしか就けない、とか、そういうことじゃなくって。

知りたい意欲を、飽き飽きするほど満たされる経験が無いまま、
社会に出なくっちゃいけなくなるっていう意味で。

興味も無かったことを、知ったり学んだり出会ったりするのって意外と面白いなという経験。
なんだろーと思って、ちっとも何の役にも立たないのにドンドン調べたくなっちゃうときのワクワク感。

そういう体験を、子どものときにできたなら、大人になって「なんだこれ困った」
自分の世界で解決できる手札を持たないぞ、って時に、
自分は知らないけど、どっかには解決できる方法があるかもしれない、と足掻くための、
底力になると思っている。


だから、教育は、大事。
子どものうちに「安心して、学べる場を保障される」って大事。



日本は、他の先進国に比べて教育費を盛大にケチってる。

豊満な私腹を肥やしたおっさんたちベースの国だ。
そこを仕切ってる財務省の、ものを考えない、目の前に立つおっさんに、目をつけられないようにだけ振舞えばよろしかった体質が、日のもとにさらされたばっかりだ。

NPOで働いていたときから、子ども施策において、厚労省が最も理解が早く、愚鈍な文科省がようやく理解しても、鉄の財務省は、その意義なんちゃらなど聞く耳持たない省として悪名高かった。

彼らが聞く耳を傾けるのは、小さき者ではなく、
目の前の態度のでかい、私権に関して強欲な人たちばかりだったってこと。


腹ばかり、立つ。
腹ばかり、立つけれど、地団太踏んだって、こぶしを振り上げたって、仕方ないので、
教育に歳出を割くことの有用性について、いつなんどきでも自分の言葉で語れるようにしておくことくらいしかできない。


・・・・・

そんなことを思いながらのチョイス3冊。
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・舞田敏彦『データで読む教育の論点』晶文社(犀の教室)
日本の教育の現状をとらえようとするときに、どこにどんなデータ、どんな調査結果があるのかを紹介している。必要に応じて便利に「使う」本。


・ルーシー・クレハン『日本の15歳はなぜ学力が高いのか』早川書房
タイトルは意訳。
原語では”Cleverlands:The Secrets Behind the Success of the World’s Education Superpowers”
副題の「5つの教育大国に学ぶ成功の秘密」が、より正確。

日本、カナダ、フィンランド、中国(上海)、シンガポール、五つの国に実際に足を運び教育現場を見せてもらいながら論じた本。

シンガポールと中国(上海)の教育事情を読んで、つくづくとその両国に生まれなくて良かったと思った。
つくづく、その両国で子どもを育てることにならずに済んで良かったと思った。
子どもに「今」はなく、子どもの時間すべてが「オトナ」になったときのために使われる。

日本は、まだマシだと思ったし、ともすれば、そこまで極端に振れてしまうこともあることを知った。
そして、日本よりフィンランドはまたもっと良い。
そのとき(16歳)が来るまで、一斉試験は行われない。他との比較ではなく、自身の中の成長、成熟に意識を置いて時間をかけることができる。



・中澤渉『日本の公教育』(中公新書)
日本の社会の仕組みのなかで、公教育が果たしている役割、期待されている機能と、
実際のとこはどうなのか、これからはどうなのか、について、
かき集めたデータを検討し、丁寧に分析して書いてくれている。
信頼できるデータ、信頼できないデータをふるいにかけ、場合によってはデータを作り直し数字を整えて、公平に見える形に整理する作業を積み上げてくれた一冊。
その作業に敬意を表したい。こういう数字がこれまでを顧みるとき、これからを考えるときに、力を持つのだ。ありがとう、と言いたくなる。


by shiho_kato | 2018-06-06 19:22 | 読書ノート | Comments(0)