むむちゃんの散歩道

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小手毬るい『炎の来歴』『アップルソング』

昨年の夏、『星ちりばめたる旗』で、ノックアウトされた。
戦時に日本からアメリカンドリームを求めてアメリカに移住した日本人のお話。


ぼやっとした作品も多いけれど、彼女の書く戦時・戦後ものは作品は信じることができる。私の原田マハの作品への信頼に近しい。


今年の夏は『炎の来歴』と『アップルソング』を読んだ。
『炎の来歴』はベトナム戦争が始まる前の、日本人の僕とアメリカに住む「彼女」とがやりとりするエアメールで全編が構成される。

『アップルソング』は、終戦直後にアメリカに渡り報道カメラマンになった「茉莉江」の足跡を、911テロにて崩壊したタワーから救出された「私」がなぞる物語。

私は戦争ものが苦手で、よほど強い動機が無い限り積極的に読むことをしない。
小手毬るいの作品はうっかり読まされてしまい、次を読みたくなるんだ。

『アップルソング』の茉莉江は、学生闘争、あさま山荘事件、御巣鷹山墜落事故、チェチェン紛争、911を写し、作品の中ではベトナム戦争にも触れる。


敵と戦うのが戦争ではなく、人を殺すのが戦争であり、そこに大義はない。

そのことを悲しみと怒りと決意をもって、描くことで、強く抗議する。

「敵から守ろう」そう思った瞬間から、人は憎しみに支配される。
「敵」を生まないことこそが、平和への早道であることを、胸に深く刻まれる。


彼女の作品は815の終戦の時期に読むのにふさわしい。
そして、もっともっと読まれて欲しいと思う。


by shiho_kato | 2018-08-16 16:03 | 読書ノート | Comments(0)