誕生日が楽しみで楽しみでたまらないぷうちゃんは、ご機嫌なまま始業式の朝を迎えた。
夏休みの宿題は、今年はいつもよりも、ほんの少し余裕を持って終わり、準備はバッチリ。
むむちゃんがおうちに居る時間が長く、せっせと受験勉強に励んでいたことに影響を受けたおかげ。
と、自由研究が、ヤル気を高めてくれたおかげ。やりたいことをやり遂げることは、こんなにも嬉しいことなのか。
ぷうちゃんを見てしみじみ気づかされる。
むむちゃんは、メンドくさ、と言いながら、淡々と二学期を迎えた。
友だちと会い、推薦されて係が決まり、学芸祭のお手伝いに行ったらハメられて役付きになったと、嘆いている。
中学生時代に、むむちゃんの中にあるものを、友だちや先生にずいぶんたくさん掘り起こしてもらい発見してもらっているなぁ、と思う。
私は、にわかに押し寄せる不安の波を、身を低くしてかわしながら、そっと始める。
大丈夫、学期があらたまっても、日常はこれまでの延長だ。ぼやぼや抜け落ちることがあっても、拾えば良いだけのこと。
不必要に、新しい時間を怖がるな。
と、言い聞かせる。
怖ければ逃げよ。
怖ければ隠れよ。
せーの!で、はじめなくっても、昨日から今日、今日から明日へと、ちゃんと時間が運んでくれる。
あなたはあなたのままで、ぼんやり流されていればいい。
今の自分に、10代の頃のかつての自分に、未来の自分に、言い聞かせる。